コールセンターでのAI活用の最前線vol.1~自動チャット編~

最終更新日:2017年8月28日

代表 中村
こんにちは、中村です。
先日、新宿で怖いお兄ちゃんに絡まれたと思ったら、ゲイバーの店員としてスカウトされました。
また新たな境地に到達できそうです。
さて、今回の記事では「コールセンターでのAIの活用法」をテーマに、3記事に分けて紹介していきたいと思います。

『人間の仕事を代行する』
というネガティブなイメージがありますが、実際は人が働きやすくなるために役立っていることを理解頂けると思います。
今回は第1弾として、弊社で『3段階FAQ』と呼んでいる活用法を紹介していきます。

実はコールセンターのモデルは崩壊寸前

コールセンターは企業が自社で抱える場合もあれば、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という形でアウトソースしている場合もあります。
どちらも場合も、現在の環境は非常に厳しいものとなっています。
具体的には、

1,高騰する人件費

現在有効求人倍率はバブル期の水準を超え、企業間での「人の取り合い」が起きています。
一般にコールセンター業務は”キツい”ので、人材を確保するには他社より優れた労働条件を提示しなければいけません。
その結果、多くのコールセンターが拠点を構える都市の平均時給も徐々に上昇しています。

出展:『コールセンター白書2016』

2,高い離職率

コールセンターで働く非正規社員やパートの年間離職率は約4割とかなり高くなっています。「クレームでストレスがたまる」「数社分の対応を同時にしなければいけない」など、心身ともに負担が大きいのが原因でしょう。

出展:沖縄総合事務局『沖縄におけるコールセンターの現状調査』より弊社が作成

3,オペレーターの研修不足

コールセンターの仕事は覚えることが多く、一般的にオペレーターの研修には3ヶ月から5ヶ月程度が必要だと言われています。
しかし、ほとんどの企業が人手不足から2週間から3週間程度しかオペレーターの研修に時間をかけていません。
これでは顧客満足度も下がってしまいます。

出展:『コールセンター白書2007』より弊社が算出

ユーザーから不満の声は多い

このような現状から、およそ8割のユーザーがコールセンターに何らかの不満を抱いています。

出展:『コールセンター白書2014』
TOP3は普段ユーザーとして私もよく感じることです。

  1. 待ち時間が長い
  2. 音声応答システムの番号入力
  3. 話し中が多い

そして、不満を感じたユーザーの3割は離反を引き起こすことが分かっています。
コールセンターの問題点を放置することは、ビジネスチャンスを失ってしまうことに繋がってしまうのです。

出展:『コールセンター白書2010』より弊社が作成

AIの導入で解決できること

『3段階FAQ』を導入することで、「繋がらない」という顧客の不満を解決することができます。
具体的に説明していきましょう。

3段階FAQとはどのようなシステムなのか

ユーザーから来る問い合わせを頻度毎に分類すると上記のグラフのようになります。
「会員登録の方法」「価格についての質問」など簡単なものが多くを占めていて、難しい質問(あまり聞かれないこと)は当たり前ですが、多くありません。
従来は全ての質問に対してオペレーターが電話で対応していましたが、これらを振り分けていくのが『3段階』の発想です。

  1. 1段階目:チャットで自動対応
  2. 最もよく聞かれる部類の質問で個別対応が必要ないものは、電話ではなくLINEなどのチャットで自動対応します。
    ユーザーは、またずに回答を得られるというメリットがあります。

  3. 2段階目:チャットで手動対応
  4. 自動対応で解決できない場合は、オペレーターを呼び出します。
    ここでもまだ電話はせずに、チャットで手動対応します。
    時間が拘束される電話に比べ、同じ時間で6倍のインシデントに対応することが可能です。

  5. 3段階目:電話で対応
  6. 手動チャットでも解決しない場合、緊急性が高い場合は今までどおり電話で対応します。
    途中までのチャットの履歴が残っているので、必要な通話時間が少なくなります。

開発 西田
ここで使われているAIのメリットは、「表記のブレを吸収することです。
例えば、「返品方法が知りたい」「返金したんだけど」「へんぴんしたい」など同じ意味でも様々な表現があります。AIはこのような同じ意味の別の表現を全て解釈することができます!

ユーザーの利用イメージ

ユーザーの具体的な流れを見てみましょう。

このように、自動対応で満足しない場合、ユーザーの意思でオペレーターに切り替えることができます。

開発 西田
オペレーターは対応後、自動対応できなかったユーザーの質問文と回答のセットを新たにAIに覚えさせることで、AIをどんどん賢くしていくことができます。月に数百件の問い合わせがある企業であれば、3ヶ月程度で典型的な質問にはほぼ対応できるようになります。

3段階FAQを導入した企業の事例

まだまだ始まったばかりの概念ですが、実際に3段階FAQを導入した企業の実例を見てみましょう。

LINEモバイル

LINEモバイルでは、顧客の問い合わせに対し「いつでもヘルプ」というシステムを導入しています。
「サポートが悪い」という格安スマホのデメリットをうまく補って、有人のチャットサービスの満足度96%を記録し、事業の成長に大きく貢献しています。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、コールセンターを取り巻く環境とその1つの解決策である『3段階FAQ』について説明しました。
次回は「新人育成」に焦点を当てて、AI活用の最前線を紹介していきたいと思います!

『AI FAQ Supporter』

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高速・高精度のFAQ検索を実現できる理由をpdfで公開しております。

ABOUTこの記事をかいた人

中村 陽二

東京大学工学部および同大学院工学系研究科修了。 マッキンゼー&カンパニーでM&Aや製造業での成長戦略のコンサルティングを経験し、2015年株式会社サイシードを創業。 趣味はモデルルームの内見。インドのことわざに造詣が深い。